1920 Marcel LEPRIN "Une dame portant une étole de plumes noires"
マルセル･レプランは、ピカソやモディリアーニたちと共にパリ市モンマルトル地区を拠点に印象派画家として活動。「色を塗るのではなく、色で描くこと」と語っていた。薬物とアルコール中毒で42歳の若さで生涯を閉じる。
日本では無名に近い印象派画家ですが、フランスを中心に欧米で再評価が高まり回顧展を始め近年彼の生涯の研究もかなり進んでいます。
フランス国立近代美術館 、パリ近代美術館、 カルナヴァレ美術館 、モンマルトル美術館 で作品を観ることができます。

制作期： 1920年頃　パリ時代
原作者： Marcel LEPRIN（マルセル･レプラン）
製法： キャンバス、油絵
サイン： 作品中央やや右より下に直筆サイン
コンディション：　背景の中央右寄りに3mmくらいの穴（可逆性修復で復元可能）　色のひび割れは殆ど見られません。
作品サイズ： 高さ46cm　幅38cm
額装サイズ： 高さ66cm　幅57cm
備考： パリ・モンマルトル時代、レストランのオーナーと語っていた「キャサリンの母親」と思われます。 額装は同時代のものと思われます。

Marcel LEPRIN（マルセル･レプラン）
マルセル･レプラン(1891-1933年) 　仏・カンヌ生まれ

マルセイユ時代
幼少期、ドン・ボスコのサレジアン修道会の神父の養子となり、彼の描画能力に驚いた神父は彼に石版印刷を手ほどきした。成人後、いくつかの職業に就いた後、日曜日に村の場所でコリーダのパロディを披露する小さな闘牛団に従事する。それから小さなサイズのタウロマチックな主題を描くことに努めた。
1914年のこの頃、レプランは妻のヘレーネと出会い結婚している。第一次世界大戦の兵役を経て1919年に彼が戻ってくると、ヘレンは姿を消していました。レプリンは、この傷心を一生心に留め続けていたことでしょう。その後の2年間をマルセイユで極貧の中で過ごし、商人のスマジャ夫人の家族に迎えられたレプランは、市内の暑い地区で乱れた生活を送り、健康を損ねてしまう。
この期間中、彼は闘牛のシーンを表す小さなポチャデをブラシで描きます。初めての展示会で彼は、ナショナル・ストリートの酒場の装飾という依頼にたどり着いた。彼は騒がしいフェスティバルの、動き、光、そして厳しさの狂気的で色彩豊かな雰囲気を与えています。
マルセイユでのレプランの主な仕事は、酒場「ピエール」の装飾です。4 つの壁は色彩豊かなフレスコ画で覆われており、その主要部分は長さ7メートルあり、古い港のパノラマを表しています。また、暑地にある1つまたは2つの閉鎖された家を装飾しました。その日常の悲惨さから、人間的な内面を保つことだけでやっとでした。レプリンの絵画はすべてにおいて彼の様々な心の状態を反映しているため、どれも似たものが存在しない。
このような重傷を負いながらマルセイユを離れることで、彼は名声の基礎を築いた。

パリ時代
1921年、レプランは過去を忘れてパリに向かい、そこで人脈を得る。絶え間なく続く痛ましい悲惨さの中で、すぐにモンマルトルの風景とそこにある人間の現実を受け入れた。モンマルトルでの生活はマルセイユよりも悲惨で、より目に見えて明白であり、彼の心の近くにある。彼は一時的な客に対してパステル画を提案し、レストランのオーナーである「キャサリンの母親」に提案する部屋に対して絵を交換します。彼女のために、彼は肖像画、静物画、タバコ屋の屋台、そして絶望的な酔いの中でモンマルトルの風景を描いている。光輝き、色が輝くマルセイユに思い馳せながら。1924年、彼はモンマルトルの額装業者アンリ・ビュローとフランチャイズ契約を結び、キャリア支援を得ている。物質的な制約から解放され、全ての時間を絵を描くことに捧げます。彼の最初の個展は 1925 年にベルト ヴァイルで開催された。

巡回期間
1926 年、レプランはモンマルトルでの放蕩生活を離れ、フランスの都市や村を巡る旅に出る。彼は風景画家ではありませんが、1922 年のシャヴィルと、旅の初期のフルンヌ周辺の絵をいくつか描いている。旅路、物事の内部を探求し続けた。季節の移り変わりにはほとんど興味を示さず、禿げた木々が苦悩を語る冬だけに傾倒していく。雪に覆われた風景は純粋さで装い、「雪の下のモレ橋」「雪の下のモンマルトルのマキ」「メニルモンタンの雪」などを生み出している。
パリからの脱出により、彼のパレットは新しい色で明るく変化した。この巡回期は、レプランに厳格さと抒情的な高揚感が入り混じって並外れた装飾感覚をもたらしている。この特別な才能は、モー大聖堂やサン ペール スー ヴェズレー教会を表す絵画で輝きを放っている。
この巡回中、ポワティエで開催された舞踏会の依頼でいつかの版画も制作している。ヴィリエ・ル・ベル滞在中、大型キャンバスで描かれた「ゴネス教会」は1927年の秋期展で展示された。ツアーではモレ、次にヨンヌ、そして最後にフーロンヌとダンケルクを訪れ、港の激しさを描いた。

1926 年から 1927 年の彼の最も美しい時代の作品が1928 年4月にドルエ ギャラリー展示会で成功を収めている。オータム ショーやインディペンデント ショーにも定期的に参加。1929年、オンフルールに戻り、ブルゴーニュを横断し、ルーヴル美術館を再調査するためにパリに戻り、再びカーンへ向かい、1930年に「カーンの城壁」と「教会の場所」を描いた。
1930 年 12 月、アンリ ビューロはロワイヤル通りのドルエ ギャラリーで彼の2回目の展覧会を開催し、初開催と同等の成功を収めた。

1931年、レプランはノルマンディーに戻りますが、この頃は完成度が低く、カーン（中産階級社会）から虐待を受けている。落胆して酒を飲み、薬物を摂取する。

1932 年にパリに戻り、すぐに入院。

1933 年 1 月 27 日にテノン病院で亡くなりました。

例外的な運命の充実、魂と存在の中で苦しみながらも、その目と手は、自分の存在の涙と内なる絶望を超えて、永遠の作品を私たちに届けることを知っていた男のものです。マルセル・レプリンの人生は、彼自身の運命の出来事によって長引いた幼少期の傷、内なる孤独によって特徴付けられています。それはまた、彼に到達不可能な調和の幸福を二つの深淵の間で知らせる、誠実な友情の熱によってもたらされた成果でもある。

厳密さ、要求、技術的コントロール、構成のバランス、節度、これらが彼の作品の緊張領域です。

コリーダのシーンを作成したり、彼にとって馴染み深い場所をいくつか明らかにしたり、村や教会のそばに点在するルートを旅したときの感情を思い出させたり、彼の顔の影を下に持つ肖像画を完成させたり、私たちを内面に侵入させたりするためです。ある部屋で、グレーと黄土色が出会う、制御された光の微妙な色調、イエローがニュートラルになるだけでなく、明るい色の個別の高揚感も感じられます。流動性と動きを表現する物質の豊かさ。

「色を塗るのではなく、色で描くこと」

マルセイユ、モー、アヴァロン、モンマルトル、オンフルール、モレ、カーン…　マルセル・ルプランは大手チェーンで争うことなく開催されます。個々の堅固なつながりであり、群衆への贈り物であり、彼はそれを密かに熱望し、その中で自分の達成を俯瞰してた。

パリとマルセイユの最大のギャラリーでの回顧展や個展、パリ、ニューヨーク、テルアビブ、トリノの美術館での展覧会についても言及しなければななりません。

レプランの絵画は今日、カルナヴァレ美術館、モンマルトル美術館、ジュネーブ小宮殿、仏国立近代美術館、パリ近代美術館で観ることができます。