1,700,000円(税込1,870,000円)
1930 Leonard Foujita "Madeleine et l'Oiseau" by " Dessin à la plume
藤田嗣治が捉えた日常の断片 モデル・マドレーヌをめぐる考察
第一章:線による対話 / 素描という表現形式
藤田嗣治(レオナール・フジタ)の芸術を語る上で、「線」は欠かすことのできない要素です。1920年代のパリにおいて、彼は東洋の面相筆と墨を用い、西洋の伝統的な油彩画に革新をもたらしました。その技法が最も直接的に、そして飾り気のない形で現れるのが、本作のような紙にペンで描かれた素描です。
本作の画面中央には、うつ伏せになり、書物にペンを走らせるマドレーヌ・ルクーの姿が描かれています。藤田は、彼女の何気ない日常の仕草の中に、完璧な均衡を見出しました。背中の柔らかな曲線から、インク瓶に添えられた繊細な指先まで、一本の線が淀みなく形を成しています。この迷いのない筆致は、藤田が対象をいかに正確に、かつ慈しみを持って観察していたかを物語っています。
素描は、油彩画のための習作という側面を持ちながらも、画家が対象と対峙した瞬間の「息遣い」を最も純粋に伝える形式です。本作に漂う静謐な空気感は、画家とモデルの間に流れていた、親密で穏やかな時間そのものを写し取ったものと言えるでしょう。
第二章:マドレーヌ・ルクーと南米への旅
モデルのマドレーヌ・ルクーは、1930年代初頭の藤田にとって、公私ともに欠かせない存在でした。彼女は元々、パリのカジノ「カジノ・ド・パリ」のダンサーでしたが、藤田と出会い、彼の新しいミューズとなりました。
1931年、藤田はマドレーヌを伴い、住み慣れたパリを離れて南米へと旅立ちます。ブラジル、アルゼンチンなどを巡るこの長い旅路の中で、藤田は数多くのスケッチを残しました。本作に見られる軽やかな表現は、パリ時代の重圧から解放され、新天地でマドレーヌと共に過ごした自由な精神状態を反映しているようです。
画面には、彼女の他にも興味深いモチーフが散りばめられています。
鳥の描写: 彼女の背後で羽ばたく鳥は、画面に動的なリズムを与えています。藤田の作品において鳥や動物はしばしば登場し、画面に象徴的な意味や寓話性を添える役割を果たしてきました。
自画像の挿入: 画面右上の端には、眼鏡をかけた藤田自身の顔が小さく描き込まれています。これは、自分がモデルを見守り、共にその場に存在していることを示す、藤田特有の遊び心であり、一種の署名代わりの表現でもあります。
マドレーヌは1936年、若くしてこの世を去ります。そのため、彼女をモデルとした作品は、藤田の長い画業の中でも特定の幸福な時期を象徴するものとして、愛好家の間で高く評価されています。
第三章:鑑定による客観的な価値の担保
美術品の所有において、その真正性は最も重要な要素です。本作には、**「一般財団法人 東京美術鑑定評価機構(東美鑑定)」**が発行した鑑定証が付属しています。
この機構は、日本における藤田嗣治作品の鑑定において最も権威ある機関の一つであり、専門家による厳正な審査を経て発行される鑑定証は、作品が藤田の真筆であることを客観的に証明するものです。鑑定証に記された「令和7年」という日付は、最新の鑑定基準においてもその価値が改めて認められたことを意味しています。
決して大きくはない画面ですが、そこには巨匠の技量と、一人の女性への深い思慕が凝縮されています。金色のアンティーク調額縁は、作品の持つ繊細な質感を損なうことなく、時代を経た美術品としての品格を静かに引き立てています。
第四章:暮らしの中に息づく巨匠の筆跡
藤田嗣治の作品を所有することは、単に美術品を壁に掛けること以上の意味を持ちます。それは、20世紀初頭のパリ、そして南米を旅した一人の画家の記憶を、自身の空間に迎え入れることに他なりません。
本作の魅力は、その「さりげなさ」にあります。大作が持つ圧倒的な力強さとは異なり、素描には、ふとした瞬間に目を向けたときに心を落ち着かせてくれるような、穏やかな叙情性が宿っています。
空間との調和: 抑制された色彩と繊細な線は、和洋を問わずどのようなインテリアにも自然に馴染みます。
歴史の継承: 100年近い時を経て、当時のままの鮮烈さを失わないインクの跡。それを手元に置く悦びは、美術愛好家にとって至上のものです。
藤田が愛したマドレーヌの姿、そして彼女を見守る藤田の眼差し。この一枚の紙の上に定着された「愛の形」は、時代を超えて見る者の心に語りかけてきます。鑑定証によって裏打ちされた確かな価値とともに、巨匠が残した至福の時間を、ぜひ末永くお手元でお楽しみください。
作者・タイトル:レオナール・フジタ(藤田嗣治) マドレーヌ婦人と鳥
制作期:1930年代
技法:インク、素描
コンディション: 全体的に日焼けが見られます。破れ虫食いなどは見当たりません。
作品サイズ: 22.0×19.2 cm
額装サイズ: 31.0×28.0cm
備考: 弊社で額装しました。同時代に近いかそれ以上に古いアンティーク額縁をトリミングして 『藤田嗣治 手しごとの家 著・作林洋子』 に着想を得たブロカント様式に仕立てました。ライナー、マスク、ドロアシ、裏板、中板は弊社手作りです。
Leonard Foujita(レオナール・フジタ)
藤田嗣治(ふじたつぐはる) 1886 ~ 1968年
二度目の渡仏で洗礼を受けて同時に帰化しフランスの土に還ったフジタの人生は奇想天外そのもの。東洋人の絵描きとして名を売ろうと、シマシマの囚人服を着て、晴れの日に和傘を広げ、髪をおかっぱ頭に刈り上げて、パリの街を歩く姿は一際目立つ存在だったそうです。着る服の殆どは自らミシンを踏み縫っており、画家として食えない時代は縫い子(衣服を縫う下請け業)をしていたほどの腕前でした。こうして自身をプロデュースして、借り物の器には入ろうとはせず唯一無二の存在として、ひたすら前を向いて生き続けた彼の人生観も大好きです。個人として尊敬します。憧れの人なのです😘
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藤田嗣治が捉えた日常の断片 モデル・マドレーヌをめぐる考察
第一章:線による対話 / 素描という表現形式
藤田嗣治(レオナール・フジタ)の芸術を語る上で、「線」は欠かすことのできない要素です。1920年代のパリにおいて、彼は東洋の面相筆と墨を用い、西洋の伝統的な油彩画に革新をもたらしました。その技法が最も直接的に、そして飾り気のない形で現れるのが、本作のような紙にペンで描かれた素描です。
本作の画面中央には、うつ伏せになり、書物にペンを走らせるマドレーヌ・ルクーの姿が描かれています。藤田は、彼女の何気ない日常の仕草の中に、完璧な均衡を見出しました。背中の柔らかな曲線から、インク瓶に添えられた繊細な指先まで、一本の線が淀みなく形を成しています。この迷いのない筆致は、藤田が対象をいかに正確に、かつ慈しみを持って観察していたかを物語っています。
素描は、油彩画のための習作という側面を持ちながらも、画家が対象と対峙した瞬間の「息遣い」を最も純粋に伝える形式です。本作に漂う静謐な空気感は、画家とモデルの間に流れていた、親密で穏やかな時間そのものを写し取ったものと言えるでしょう。
第二章:マドレーヌ・ルクーと南米への旅
モデルのマドレーヌ・ルクーは、1930年代初頭の藤田にとって、公私ともに欠かせない存在でした。彼女は元々、パリのカジノ「カジノ・ド・パリ」のダンサーでしたが、藤田と出会い、彼の新しいミューズとなりました。
1931年、藤田はマドレーヌを伴い、住み慣れたパリを離れて南米へと旅立ちます。ブラジル、アルゼンチンなどを巡るこの長い旅路の中で、藤田は数多くのスケッチを残しました。本作に見られる軽やかな表現は、パリ時代の重圧から解放され、新天地でマドレーヌと共に過ごした自由な精神状態を反映しているようです。
画面には、彼女の他にも興味深いモチーフが散りばめられています。
鳥の描写: 彼女の背後で羽ばたく鳥は、画面に動的なリズムを与えています。藤田の作品において鳥や動物はしばしば登場し、画面に象徴的な意味や寓話性を添える役割を果たしてきました。
自画像の挿入: 画面右上の端には、眼鏡をかけた藤田自身の顔が小さく描き込まれています。これは、自分がモデルを見守り、共にその場に存在していることを示す、藤田特有の遊び心であり、一種の署名代わりの表現でもあります。
マドレーヌは1936年、若くしてこの世を去ります。そのため、彼女をモデルとした作品は、藤田の長い画業の中でも特定の幸福な時期を象徴するものとして、愛好家の間で高く評価されています。
第三章:鑑定による客観的な価値の担保
美術品の所有において、その真正性は最も重要な要素です。本作には、**「一般財団法人 東京美術鑑定評価機構(東美鑑定)」**が発行した鑑定証が付属しています。
この機構は、日本における藤田嗣治作品の鑑定において最も権威ある機関の一つであり、専門家による厳正な審査を経て発行される鑑定証は、作品が藤田の真筆であることを客観的に証明するものです。鑑定証に記された「令和7年」という日付は、最新の鑑定基準においてもその価値が改めて認められたことを意味しています。
決して大きくはない画面ですが、そこには巨匠の技量と、一人の女性への深い思慕が凝縮されています。金色のアンティーク調額縁は、作品の持つ繊細な質感を損なうことなく、時代を経た美術品としての品格を静かに引き立てています。
第四章:暮らしの中に息づく巨匠の筆跡
藤田嗣治の作品を所有することは、単に美術品を壁に掛けること以上の意味を持ちます。それは、20世紀初頭のパリ、そして南米を旅した一人の画家の記憶を、自身の空間に迎え入れることに他なりません。
本作の魅力は、その「さりげなさ」にあります。大作が持つ圧倒的な力強さとは異なり、素描には、ふとした瞬間に目を向けたときに心を落ち着かせてくれるような、穏やかな叙情性が宿っています。
空間との調和: 抑制された色彩と繊細な線は、和洋を問わずどのようなインテリアにも自然に馴染みます。
歴史の継承: 100年近い時を経て、当時のままの鮮烈さを失わないインクの跡。それを手元に置く悦びは、美術愛好家にとって至上のものです。
藤田が愛したマドレーヌの姿、そして彼女を見守る藤田の眼差し。この一枚の紙の上に定着された「愛の形」は、時代を超えて見る者の心に語りかけてきます。鑑定証によって裏打ちされた確かな価値とともに、巨匠が残した至福の時間を、ぜひ末永くお手元でお楽しみください。
作者・タイトル:レオナール・フジタ(藤田嗣治) マドレーヌ婦人と鳥
制作期:1930年代
技法:インク、素描
コンディション: 全体的に日焼けが見られます。破れ虫食いなどは見当たりません。
作品サイズ: 22.0×19.2 cm
額装サイズ: 31.0×28.0cm
備考: 弊社で額装しました。同時代に近いかそれ以上に古いアンティーク額縁をトリミングして 『藤田嗣治 手しごとの家 著・作林洋子』 に着想を得たブロカント様式に仕立てました。ライナー、マスク、ドロアシ、裏板、中板は弊社手作りです。
Leonard Foujita(レオナール・フジタ)
藤田嗣治(ふじたつぐはる) 1886 ~ 1968年
二度目の渡仏で洗礼を受けて同時に帰化しフランスの土に還ったフジタの人生は奇想天外そのもの。東洋人の絵描きとして名を売ろうと、シマシマの囚人服を着て、晴れの日に和傘を広げ、髪をおかっぱ頭に刈り上げて、パリの街を歩く姿は一際目立つ存在だったそうです。着る服の殆どは自らミシンを踏み縫っており、画家として食えない時代は縫い子(衣服を縫う下請け業)をしていたほどの腕前でした。こうして自身をプロデュースして、借り物の器には入ろうとはせず唯一無二の存在として、ひたすら前を向いて生き続けた彼の人生観も大好きです。個人として尊敬します。憧れの人なのです😘




